就活生(特に日本人)は、「型にはまる」「枠にとらわれる」ことが好きなのでしょうか。
人と違うことをすると、マイナスポイントになると考えるのでしょうか。
リクルートスーツや髪型などの身だしなみや、所作や言葉づかいなどのビジネスマナーは横に倣えで結構ですが、面接時の会話においては皆が皆、一様に「究極のクリティカルヒットを狙った自慢話」になっていることに人事担当は辟易しています。
参考
面接における雑談のコツ
横に倣え!?就活マシーンの異様な光景
例えば、集団面接におけるとある場面。
面接官
「学生時代に最も頑張ったことを教えてください」
学生A「体育会野球部に所属し、監督の指導のもと全国大会に出場しました!」(2分)
学生B「50大学総勢300人が参加するビジネスコンテストで優勝しました!」(3分)
学生C「カンボジアの寒村へ出向き、学校建設ボランティアに力を入れました!」(5分)
なにか特別で輝かしい結果を伝えなければならないと就活マニュアル本やネットに書いてあったためか、就活マシーンさながら、彼ら彼女らは、時間を気にせず長々と必死にPRしました。
そんな時に、4番目の学生Dがこう答えました。
学生D「はい。誇れるほどではありませんが、片道5時間の大学へ、全ての講義を1日も休まずに最前列で3年間学修したことです。
私の家は最寄り駅から車で30分かかる田舎なのですが、心身を鍛えようと自転車で2時間かけて駅まで向かい、さらに電車で3時間かけて大学へ通っていました。休みたくなる時もありましたが、自分に負けるのも悔しいですし、授業料を無駄にしたくはなかったのと、確固たる専門性を身につけるという目標がありましたので、この通学片道5時間と講義を最前列で受ける姿勢は変えませんでした。」(45秒)
さて、学生Dは、誇れる経験ではないと前置きしながらも、ただ距離の遠い大学へ通学していただけの話をしていますが、これは無しでしょうか。
この話の中には、本人の学業に対する高い志と勤勉さ、真面目さや負けん気、継続姿勢を感じ取れますし、端的に要点を伝えることができています。また、それを証明するかのように面接官の手元にある成績証明書にはSランク(優)の評価が並んでいます。
学生A,B,Cはどこが残念なのか
野球部で全国大会へ出場した学生Aで言うなら、なにも考えずに、ただ監督に言われたことだけに従順に従っていただけならば、行動の中身に改善や試行錯誤を繰り返しながら努力し、主体的・自発的な行動の結果掴んだ全国大会出場ではありません。
むしろ、監督の采配やマネジメント能力が高いことを証明しただけで、学生A自身は、単に「指示待ちの受け身人間である」と自ら称しているのと同じで、結果は大きいとしても、行動レベルから判断する人物評価としては低いです。
ビジネスコンテストで優勝した学生Bは、チームの中の役割を尋ねられると、自分は全員の分析やアイデアをまとめただけで、自らチームへ働きかけて動かしていった主体性がありませんでした。
話をさらに掘り下げて聞いてみると、むしろ当初からやる気がなく、ずっと皆の足を引っ張ってしまっていたことも判明します。となると、そのコンテスト優勝は、彼の成果といよりも他のチームメイトの能力の高さから得られた結果と取られてしまっても仕方ないです。
カンボジアボランティアを頑張った学生Cは、滞在期間を聞いてみると1週間でした。そして、体験ボランティアのプログラムに沿って全て役割は決められており、学生Cは与えられた役割をなにも考えずにこなしていただけでした。
これは、大きな目標の元、自らなにか改善や工夫をしたり、苦労・苦心したりしながら成し遂げた成果ではなく、「就活のためのネタ作りのためなんでしょ?」と思われるだけです。
結果よりプロセス、自慢話より行動特性
会話が成立している=聞かれていることだけに簡潔に答えるということが前提ですが、他者よりぬきん出たり目立とうとしたりする必要はありません。
面接官は、あなたの主体性と思考や行動のプロセスしか見ていません。
誰よりも目立とうと、目の前の面接官をアッと言わせようとする必要はありません。仕事でたくさんの大変な経験を積んできた相手には、そもそも叶いませんし、自慢ばかりしていると鼻持ちならないとさえ思われるリスクもあります。
であるならば、地味ながらも着実に続けてきた継続性を示した方が良いです。そして、ゼミやサークル、アルバイトを選択する際の動機や、その後の行動においてどのような視座を持ち取り組んでいたのかという、自分というトリセツの見開き1ページ目である、行動指針や理念のような一貫性を示してください。
行動事実がたとえ他者よりもパッとしない華やかな内容や実績ではなかったとしても、
きちんとPDCAサイクルを回しながら、特に苦労を伴いつつ試行錯誤のプロセス踏んでいることを証明できれば、面接官から共感を得ることができ、さらには一緒に働いてみたいと思わせる人間的な魅力を伝えることができます。
参考
もちろん、この学生Dの通学トークの一例はは神回答ではありません。人事はプロですから、その行動結果もさることながら、行動の事実のみに着目し、行動レベルを見ていきます。
面接に不慣れな現場社員が居ることもある中で、そのような地味な通学シーンの話が相手に刺さらないこともありますし、その過程における本人なりの創意工夫や試行錯誤が、この45秒の要約では全く伝わりません。
その後の質問で、学生がいかに苦労・苦心しながらも試行錯誤を繰り返していたことが話せるかで着地は大きく変わってきます。
大切なことは継続性と一貫性
これら、目標を立て、PDCAサイクルを回しながら、時に苦労しながら試行錯誤をして達成した一連の出来事の表現の重要性は、学生A,B,Cにも言えることです。
華やかな体験談だけをドヤ顔で誇らしげに自慢しても、全く相手に心に響きません。むしろ、その成果や結果に至るまでに、どのような自分なりの工夫や苦労があったのか。その際にどう考えてどう行動したのかという試行錯誤のプロセスが重要なのです。
人が人とジャッジし、面接官と応募者の組み合わせも運であり、選べないものですから、評価エラーが一定数出てしまうことはある程度仕方ありません。
参考
そんな中でも、人事担当は少しでもその評価エラー、ミスジャッジを防ぐために、行動の特性のみに着目し、それが入社後も常に継続して高い利益を出すことができるか見極めるような面接マニュアルや評価基準を各現場社員に伝えます。
これまで、胸を張って頑張ってきたことが無いから、大学3年生の夏か秋くらいから1週間~1か月程度の単発で旅行に出かけたり、海外でボランティアをしてみたり、震災復興支援に取り組んでみたり。
そこに大義があれば別ですが、大半はそのような行動の見据える先の目標・目的が、「就活のため」という動機は、「あぁ、ネタ作りなんだな」と簡単に見透かされます。
せめて、就活を意識する大学3年生の後期より以前の出来事で1年以上継続していることがあれば、焦って後期から場当たり的な瞬発的行動で行うインターンやボランティアよりも望ましいです。※3年生後期からの出来事を語ってはいけないという意味ではなく、目的が就活のネタ作りのためではないということが重要です。
自分の経験を棚卸しする自己分析時やESなどの文章作成時、そして面接時の各場面において、自分に誇れることはなにかという短絡的発想ではなく、主体的に取り組んだ自分らしさがよく出ている経験は何だったか、という視点から振り返り、継続性と一貫性を意識しながら就活に臨んでください。
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