平成4年(1992年)生まれは悲劇の世代?
時代の大きな流れ、波のような大きなうねりの中では、どんな人もあらがうことができません。
そう、人生は、生まれてから現在に至るまで、予測できない様々な出来事が起こります。
皆さんは、「平成4年生まれは悲劇の世代」リーマンショックならぬ、
「ヘーヨンショック」をご存知でしょうか。
〈ヘーヨン世代の年表〉
1992年 生まれたと同時にバブル景気が完全に終了
※翌93年から就職氷河期突入
1998年 小学校入学と同時にゆとり教育開始
2008年 高校入学 爆弾低気圧直撃
※脱ゆとり教育開始、義務教育9年間を覆される
2011年 高校卒業・大学入学 東日本大震災
※この年は震災の影響を受け各地で式の自粛
※高卒の就職率も過去最低に
2013年 成人式 全国各地で大雪大荒れ
とまぁ、節目節目に災難が重なってしまった世代です。
※ゆとり世代・・・1987年〜2004年生まれ。さとり世代と別称もありますが、分かりやすく今回はネガティブなイメージが常につきまとってきた「ゆとり世代」という表現で統一します。
※有名人は、指原莉乃、剛力彩芽、ネイマールなど
ただ、大卒を想定した就活時期が不遇だったかというと、そうでもありません。
彼ら彼女らは、2013年に就活をするのですが(院卒であれば、2015年)この年は震災からの復興の波とともに、有効求人倍率(1人あたりに充当される求人の数)が少しずつですが回復してきていた時期でしたので、求人倍率が1%を切っていたロスジェネ世代※の代表である2000年に大学を卒業した方々(今年で43歳になる方々)の「超氷河期」を食らった不遇に比べれば、マシです。
※ロストジェネレーション世代の略。就職氷河期だった1993年〜2005年に就職活動をしていた世代。苦労世代、貯蓄世代とも呼ばれる。フリーターという言葉も浸透。
本当に辛かったのは1987年生まれ(今年で33歳)
とはいえ、92年生まれが不遇だっだというのは早合点です。
これまで1万人以上の大学生社会人の就活・転職を支援してきた中で、彼ら彼女らの辛い状況が最も身につまされたのは、今年で33歳を迎える1987年生まれの世代です。
彼らは、ゆとり第一世代と呼ばれています。がっつりゆとり世代の92年生まれとは違い、義務教育の最後の1年間中3の時だけしかゆとり教育を受けていないのに、ゆとり教育の代表格のように扱われ、企業入社時には「初めてゆとり世代が入ってくるぞ」という色眼鏡で見られました。
また、ぎりぎり最後の昭和世代でもあります。平成っ子=ゆとり世代的なイメージが根強く、また平成の彼らの横の団結力も強い中、昭和世代と平成世代達の狭間で、どちらにもその心の拠り所を見出せず、時代に翻弄されます。
岡田将生さん主演、宮藤官九郎さん脚本の「ゆとりですがなにか」は、まさに1987年生まれの最後の昭和であり、時代に翻弄された彼らに焦点を当てた面白いドラマでした。
そして就活へ。
彼らは、就活の時に、先輩たちから「全然余裕、最終面接も全通(全員内定)だったよっ」と吹き込まれ、あぁ、良かった。自分達の就活は少し余裕を持って取り組めそうだ。と思っていた矢先に起きたリーマンショック。
雇用情勢は一気に冷え込みます。
あの当時の、大手を中心とした「採用人数のえげつない大幅な削減」には非常に驚かされました。
多少影響を受けるだろう、どころか、採用が昨年比5分の1、10分の1、あるいは採用しない、という企業が続出したのです。
もう少し待ては雇用は回復するかもしれないと、院への進学を選んだ学生も多かったですが、そのわずか3年後に発生した、東日本大震災。
ちなみに、リーマンショックが採用戦線を直撃したヘーヨン世代の2010年卒からの2013年卒までの3年間は「新氷河期」と呼ばれています。
2012年末から第二次安倍内閣が発足して以降、企業の雇用に対する意識にも変化が現れ、就職・採用戦線も好転し、足元の雇用も回復。2014年卒から現在に至るまで上昇マインドのトレンドに入っています。
禍福は糾える縄のごとしとは言うものの、ここまで時代に翻弄された世代(1987年生まれ)は、少なくともこの10年間の就職戦線においては居なかったのではないでしょうか。
不景気=不幸なのか
時代が変われば就職・雇用状況も変わるもので、生まれ年は選べませんし、これはもうその方の宿命・運命で、あとは自分で切り拓いていくしかありません。
確かに、自分の世代の就活時に雇用情勢が悪いよりは良いに越したことはありません。
実際に、新卒で就活を行う日本の雇用慣行を鑑みれば、全国約40万人の人生における生涯年収や生活を決定づけると言っても過言ではない一大イベントの時点で、景気か不景気かで、入れる企業のレベルが変わってしまうと言うのは完全に世代間不公平を産んでいます。
しかし、貧乏=不幸ではないのと同様に、就活時に景気が悪いから不幸なのかと言うと決してそうではありません。
確かに、入社可能性の門戸が不況によってその選択肢が狭まってしまうのは悔しいですが、よーいドンで始まり就活生の皆さんにその時点で与えられた環境は、公平・中立なものです。
それに、以前の記事、『入ってしまえば勝ち!』のはずが、、、にも記載されているように、自身のレベルより遥か上位の大企業になんとか滑り込んで入社することができても、実力・能力次第では全く配属も優遇されず、幸せになれるとも限りません。
むしろ、うまく潜り込めた結果、自分と比較してハイレベルな同輩や後輩にプレッシャーを感じ、また要求されるレベルの高い仕事に苦しみながら、仕事を続けていくこと、背伸びした自分を演じ続ることには限界があります。
今の環境の中で、どれだけ頑張れるか。
自分の実力が相対的に認められ、本当に活躍できる企業はどこか。
就活時に与えれた環境が厳しければ厳しいほど、自己を知り、企業を知り、適正にフィットした企業に入ることができるチャンスでもあります。また、就活時に悩んで動いた数だけ、強くなる。入社後はそれが自分の自信となり、轍となり、精神の背骨を支える重要な役割を果たすと考えます。
ヘーヨン世代たちのその後。
時代に翻弄された、1987年生まれの第一ゆとり世代も、新卒で入社して早いもので今年でもう33歳。
自分の納得する大企業には入れなかったという方々が大勢居た中で、彼らの活躍は目覚ましいです。
後輩も何人か増えてきて、今置かれた環境で、「ほらね、私たちゆとりじゃなかったでしょ?」と笑顔で誇らしく胸を張って頑張っている姿をよく目にしますし、報告を受けます。
後輩からも一目置かれる、
「相対的に優位な立場で能力を発揮でいきている素敵な先輩社会人」
になっています。
ヘーヨン世代が教えてくれたように、時代の波という大きなあらがえないうねりはありますが、そこで人生の全てが決まるわけではありません。もしかしたら、この後、就活で比較的楽だった84年生まれ~86年生まれが苦労する可能性だって大いにあります。
彼ら彼女らが証明してくれているように、人生は死ぬまで逆転可能です。
今がどうであれ、今後どうなるか分からない。今は、最後のゴールテープを切る途中かもしれない。
つまり、最後に笑っていれば幸せなんじゃないでしょうか。
それに向けて適切な努力をすれば、道は拓けます。
ですから、むしろ、不遇な時こそ、長い目で見たら幸せをつかむ絶好のチャンス。
これから就活を迎える方々も、先輩のように余裕に構えてはいられません。またいつ、ヘーヨン世代のように突如不況に陥るかも分からないからです。
景気・不景気の時代の波はありますが、流れをとらえて、
人生の最後の最後に笑える就活にしましょう。