就活にはさまざまな神話が存在します。
・TVキー局、商社、広告などの有名企業に軒並み内定した
・受ける企業、その全て面接は突破し落選経験がゼロ
・大手企業リクルーターから引っ張りだこで自分は企業を選ぶだけだった
という神話です。
就活シーズンには、
「優秀な学生はどこを受けても内定をもらえる」という思い込みが存在します。
しかし、そんな学生は存在するのでしょうか?
結論は、「少数だが超優秀な学生は存在する」です。
ただし、あなたはその人を参考に就活する必要はありません。
たしかに人気ランキングの上位企業に複数社内定する学生はいます。ただし、我々のように長年、採用の現場に関わってきた就活アドバイザーの経験値からいえば、大手の人気企業の内定辞退率は、多くて20~30%程度(内定を出して学生に辞退される確率は20~30%程度)でしょう。
そのような学生が多く存在すれば、その辞退率はもっと高いものになっているはずです。企業へのヒアリング、内定者から得た数字から類推する限り、5社以上内定する学生はほとんどいないと自信をもっていえます。
そもそも、人気企業は採用時期が重なっている場合もあり、いくら面接に進もうが最終面接までうまく日程を調整して内定に到達するのは、難しいものです。
また、優秀な学生は、自分と企業をよく研究した上で就活に臨んでいるため、いわゆる「決め打ち」で絞って受けているところがあります。
よって、複数の業界をまたがって複数社も内定することはほとんどないのです。
では、毎年、就活シーズンになると「あの先輩は就活中、無敵だったらしい。4月には何社も内定とっていたみたいだよ」というような都市伝説が出てくるのはなぜなのでしょうか。
おそらく、そういった学生は、有名企業に最終的に内定していたにせよ、就職協定を順守しないベンチャー、外資企業で内定数を多く稼いでいたのではないのでしょうか。
10社内定しようが、行くのは1社です。数を稼ぐことに意味はありません。(むしろ企業側からすればいい迷惑です)
とかく、就活をスタートしたばかりの学生は企業名を知りません。
例えば、有名メーカーに内定した先輩は、実は他に5社も内定をもらっていたらしいというような話になるのです。(具体的な内定先を全て聞いていないところが、まさに噂レベルです)
こういう「神スペック」の先輩伝説は、有名企業への内定率が高い大学ではあまり話題になりません。毎年、有名企業に多数内定する大学ではあまり目立たないためです。
偏差値的に中堅以下の大学では、流通や小売といった業種への内定が多いため、大手メーカーや大手金融に内定した学生が注目され賞賛される傾向があります。
キャリアセンターは有名企業内定者の学生を呼んで、「直近で就活していた先輩に学ぼう」という文脈で、学内セミナーにも呼びます。
「こういう模範的な学生になりましょう!意識を高く、早期に動いて内定を勝ち取りましょう!」という形で、どのような就活をしてきたかを話してもらうのです。
それ自体は、問題ではありません。
特に筆記試験は早めに準備しておかないと、基礎学力が低い学生は本格的な筆記試験や適性検査のシーズンになって、落ちまってしまい面接まで進めないという事実があります。
早期に準備をさせる意味では大正解です。残念ながらこの筆記試験の突破率と偏差値は、相関関係があります。
ただ、ここは大学のキャリアセンターの経験や力量にもよりますが、人気企業は、一部の優秀な学生しか内定が出ないと強調しすぎている傾向はあります。
どの業界、どの企業であっても、
「優秀な学生はどこを受けても内定をもらえる」
というものです。
しかし、そんなことはありません。
でも、ふれましたが、企業によって求められる好みの人材というのはバラバラなのです。これは社風によって、大きく差があります。
多くの企業から内定をもらう学生は、実はこの企業選びが上手なのです。
要は、「自分の性格や特性を理解し、どこで戦えば勝てそうか」という見極めに優れています。
ということです。
自分を知り、相手を知れば勝てるという理屈です。
そこをわかっている学生が「神スペック」と言われていると思っておくぐらいがちょうどいいのです。
当然、自分と他人は異なるため、就活の進め方等、参考になる部分はありますが、「神スペック」の学生と同じようなやり方で、同じ業界や企業を受ければ内定がとれるということではなく、自分に合った企業は別のところにあるかもしれない、と仮説をもって就活をしていくべきです。
もちろん、ごく一部に真の意味で「神スペック」学生はいます。
パッと思いつくだけでも、
・有名大学で体育会の主将クラス(文武両道タイプ)
・在学中にオリンピックに出場。箱根駅伝で大活躍等(体育会エリートタイプ)
・ミス〇〇として、マスコミに出るなどして有名(タレントタイプ)
・学生時代に商才を発揮し、ビジネスを起こし事業を展開。従業員を抱えて会社を経営してきた(商売エリート)
・日本生まれの純日本人だが、アメリカ生まれのシンガポール育ち、大学では中国とイギリスに留学。現地のインターンシップに積極参加し、ビジネスレベルで数か国語を操る。(語学エリートタイプ)
・プログラミングのコンテストで常に上位。大学の研究論文が注目された等(専門性特化タイプ)
などの学生も存在します。
これらの学生離れした人たちは、在学中から注目される機会もあり、マスコミに出るなどして知名度もあります。
企業側からしてみれば、「うちにはもったいない」と思うレベルでも、勇気をもって落とす理由にはならず、内定まで出す可能性が高いでしょう。
(もちろん事業領域や社風とのマッチング度にもよります。それでもわかりやすい結果を出してきた学生は、その他大勢よりは圧倒的に有利です)
ただし、そういった学生は一握りです。
実際は、一握りでない学生も、多数内定しているのが現実です。
まずはどこの業界、企業と受けるかを真剣に考え行動しながら、勝率を高めるように努力しなければなりません。
就活は、短期間で効率よく進めないと、受けられる企業がどんどん少なくなってしまいます。
今後、合同説明会や学内の企業説明会も増えていくと思いますが、自分なりの戦略性をもって、取り組むようにしてください。