大学生活において、取り立てて頑張って取り組んできたことが無い人。
堂々と胸を張ってこれをやってきた、と言える自己PRを打ち出せなくて悩んでいる人はいるでしょう。
ESを書く際のエピソード(ネタ)考察のポイント3つ
1)頭を悩ませ自分ごととして主体的に取り組み
2)どちらかというと苦手なことを
3)1年以上継続して苦労を伴い乗り越えた
文章作成の際には上記を意識して書いてみてください。
そこで、エピソードでよくある3大ネタは、
サークルの新歓活動、合宿幹事、アルバイトの集客について
です。事例とともに見ていきましょう。
サークル
(例)英語劇部に入部したのですが、活気がなく、毎年入部人数が減少していました。
そこで私は部長に立候補し、新歓活動に注力し、部員数を増やすことを目標に掲げました。具体的には、ビラをこれまでの倍印刷し、自らシフトに積極的に入り、配布をしました。さらに、英語が堅苦しくなく身近なものであることを感じてもらうために、簡単な翻訳をつけた簡易劇を行いました。結果、興味を示してくれた新入生が加入し、〇名から〇名に増員することができました。
これらを書くのは悪いわけではないですが、本当に、本当に苦労して頭を悩ませながら主体的に取り組んだのか。
そして、それはそもそも自分がとても苦手なことで投げ出したくなる程嫌だったけれど乗り越えたエピソードだったのでしょうか。
サークルを代を受け持つ学年になって責任感が自然と醸成されて、メンバーの数を増やそうと頑張ったというストーリーに、苦手意識や苦労した様子が伝わりくい印象を受けます。
これまでの人生において、苦手で苦労したことは本当に新歓でしたか?
そして、その活動は1年以上継続されて、工夫をこらしながらやったことでしょうか。
新歓活動は,準備期間を含めても、長くてせいぜい2か月程度ではないでしょうか。
そもそも、好きなジャンルでサークルを選択したわけですから、好きなことに対しては、人間誰しもある程度の苦労や困難が伴おうとも頑張れるはずです。嫌で嫌で仕方なくて選んだわけではないのですから。
大学生活を充実させるために好きで選んだサークル活動についてアピールするよりは、アルバイトの出来事の方がましだと思います。
なぜならば、
サークルの人数を増やさなければ、賃金がもらえない、というシビアな話ではないし、別に人数が増えなくても自分ごととして結果責任が問われるものではないからです。それに、週6で部活をしていた人間と比較すると、正直見劣りします。
新歓だ、合宿だ、と言われるよりは、お金を稼ぐために精を出す、というアルバイトの話の方が、年配の方には好まれる傾向があります。
サークルの中で、本当に心から辞めたくなる程、きつくて、辛くて、投げ出したいと思いましたか?
どちらがより辛かったのか、という指標と、それでも、諦めずに、食らいついて頑張ったか、という点において堂々と語れるエピソードの方を選択して記載してください。
アルバイト
アルバイトを継続して1年以上継続していれば、失敗や、苦労した話の1つや2つは出てくるはずです。
例
居酒屋のアルバイトにおいて、お客様の増加に注力しました。競合店が近くにできたことで、集客人数が減少していました。
そこで私は、お客様を取り込もうと、店長と相談し、新メニューの提案をしました。また、店の宣伝のビラを作成し、駅前で配布しました。
さらに、接客においては、常連の方を名前でお呼びして親近感を持っていただいたり、こちらからオススメメニューを提案したりすることを実践しました。その結果、月間のお客様の来店人数が、昨年比〇%向上しました。
この話も、本当に困難や苦労を伴いながら、長期間継続してきた出来事なのでしょうか。
ビラを作成・配布することは、本社からの月間キャンペーンの一環として出された指令だったかもしれません。今まで別の先輩アルバイトや社員の方々が種をまいてきた数ある仕掛けが、その人がアルバイトとして雇われた際に、 ちょうど花開いたラッキーパンチだっただけかもしれません。
・本当にあなただけの力で、1からすべてあなたの主導で発案・実行したものですか?
・顧客の減少に対して、店長と同じ位苦しくて苦しくて、頭を悩ませたのですか?
主体的に取り組むというのは、自分の目標数字を伴う結果責任において心身ともに汗をかくことです。
そのアルバイトが、自分が店長のつもりで、店長と同じ位売上や集客数に責任を負いながら、自信を持って頑張ってきたことに間違いはないのであれば、堂々と書いてください。
そこまで、責任を負っていなかったのであれあば、あなたならではの工夫や苦労は別のシーンにあると思います。
どうひねり出してもなに出てこないということは、よほど楽なアルバイトだったか、本当になにも考えずに、のらりくらりとこなしてきたのだと思うので、アルバイトをエピソードにするには適していません。
アルバイト経験を無理やり苦労話にする位なら、学業において、苦手な科目に一生懸命取り組んだ話や、中高時代に遡って部活や文化祭の話を記載した方が相手には刺さります。もちろん、直近の出来事、大学時代の出来事の方が一番新鮮で、大学生らしさは出ます。
「〇〇らしさ」という考え
ESや面接で問われるテーマは、
1.自己PR、2.学生時代に頑張ったこと、3.学業
と大きく3つに分けられるケースが多いです。
ですから、サークルやアルバイトの話を、自己PRや学生時代に頑張ったことに記載するなら、学業には必ずゼミを優先して書いてください。
こちらも、人事担当の年配世代の方は、大学生たるもの、ゼミナールで自分の専門性をさらに高める学修をしていることは当然であると考えている方も一定数いるからです。
もし、ゼミが必修ではなく、任意で、入っていなければ、自分の学部の中で、最も力を入れた取り組んだ履修科目について書いてください。
また、経済学部生は、経済学部らしく、法学部生は法学部生らしいテーマが望ましいです。
経済学部なのに、語学に力を入れた。法学部生なのに、マーケティングに力を入れた。となると、なぜ?経済学部生なのに、経済の専門分野に力を入れずに、英語の勉強頑張ったの?という素朴な疑問が生まれます。これも、書いてはいけないわけではありませんが、この「らしさ」という考え方が重要で、新卒らしさ、学生らしさ、〇〇学部らしさ、ということが直感的に要求されるから です。
株のトレーディングに力を入れた、アルバイトで後輩のマネジメントに力を入れた、と言われても、「学生らしく」ないのです。
その人のその活動は、現役で投資分析やトレーディングを行う金融機関に勤務する方にはかないませんし、日々何十人の部下を抱えて、人材育成やマネジメントを行う課長や部長にはかないません。企業がなんの職務経験も無い新卒を採用するのは、素直で、真面目で一生懸命で、 その企業のカラーに染まりやすく、扱いやすいからです。
その事実を考えた際、 あなたのそのエピソードが、果たして「新卒らしい真面目さや素直さ、一生懸命さ」が明確に表出されているのかという客観的視点は大切です。もちろん、数ある「らしさ」の中で最も大切なのは、「自分(あなた)らしさ」という個性です。それを、過去の行動事実(エピソード)で証明する。
なにを書こうか、伝えようか、迷った際には、継続的かつ主体的に取り組み、最も苦労したことについて、という考え方ともに、
「最も自分らしい個性が発揮された学業やエピソードは何だっただろうか」という観点から推敲してみてください。
ES・面接でのPRの際のネタのおさらい
1)自分ごととして継続的・主体的に取り組み
2)投げ出したくなるような困難が伴うことを
3)心底苦労しながら乗り越えたものだったか
もう一度、深く考えて出来事を整理、棚卸ししてみてください。あなたらしい別のエピソードが埋もれているかもしれません。