世の中には、『面接の達人』や『絶対内定』といった就活本があります。
「『面接の達人』を軽くディスってみる」
タイトルにケチをつけても何かが生まれるわけではありませんが、面接の達人=仕事ができる人なのでしょうか?
むしろ面接のスターなんかは、いい迷惑です。
著者は、博報堂の元コピーライターであり、本の中身では影響力の高そうなワードをちりばめているわけですが、これを表面的に読んだ人は、「人よりも変わったことを言おう」と思い込んでしまうに決まっています。
差別化すべきは、行動レベルであって、変人としてのエピソードではありませんが、この部分をミスリードするという意味で、この本は悪影響を与えているとすらいえます。
また、この作者は、そもそも人事系のバックグラウンドではありません。採用のプロではない人が書いているという前提で読むエンタメ本ととらえておきましょう。
「『絶対内定』を軽くディスってみる」
世の中に「絶対」なんてないですよね?「何、言っちゃってんの?」という感じなのですが、主たるメッセージは「我究(がきゅう)」と言われる自己分析についてです。
自己分析をやり過ぎても、就活では、行動しなければ何も変わりません。社会は考えることも大事ですが、行動することの方がよっぽど価値があるのです。
もう亡くなられていますが、この著者は商社出身の方で理系です。音楽デビューしている等、やってきたことがイチイチ輝かしいわけです。そんな人が書く内容なんて、平凡な自分にとって参考になりますかね?
「就活本の毒素」
これらの本をなぞるだけでは、むしろ低く評価されます。
マニュアル本に書かれていた内容を反復すればいいだろうと考えること自体が能力の低さと思われるからです。
今は、仕事で自己実現を要求するような頭の固い人材よりも、ビジネスの状況に応じて、自分の役割を使い分けられるような柔軟な人材が重宝される時代です。
柔軟な対応力とマニュアル実行力は、全く正反対の能力なのです。
「ではマニュアル本は意味がないか?」
一冊ぐらいは読んでみてもいいと思います。お金がもったいなのであれば、借りてみましょう。毎年、年度を変えて出版しているようですが、ほとんど中身が変わっていませんので買うならブックオフです。
内容については、心酔してはいけません。この手の本は、アツい文体で書かれているので自己啓発本が好きなタイプは、鵜呑みにしまいがちと思います。
マニュアル本から学ぶべきは、マニュアルに書いてあることの背景を知り、個々のマニュアルに縛られないように考える力を獲得することにあります。
例えば、自己分析のワークシートをやらせている大学のキャリアセンターはありますが、それをすることの意味を伝えていないと、形式的なマニュアル人間を量産するだけとなってしまいます。
マニュアル通りにやるべきだということではない(=自分で考える力を獲得する)と強調しているかどうか、ここは非常に大事です。
「大事なのは企業目線」
企業が応募者をどのように評価しているかを知ることは大事です。企業の採用方法についての考え方を知ることで、少なくともネガティブチェックされても落選しなくなるからです。(企業に自分を合わせるという考え方ではありません)
もちろん、たくさんの応募者が集まるような大企業では、面接官の人数も多くトレーニングをしきれていないため、マニュアル本に書かれているような内容を聞いてくる場合もあるでしょう。
その程度の選考官が現れたら、ウケそうなことの一つでも言ってやればいいと思います。マニュアルなんて、しょせんその程度なのです。
「就活本の意義」
社会人としての常識を獲得するという意味では、参考になる部分もあると思います。(特に、身だしなみとか)
ですが、過剰に気にする必要はありません。
例えば、言葉遣いについて。
「わたし」と言えず、「自分」と言ってしまって、落選するような面接など存在しません。学生であれば、大目に見ます。
大事なのは自分の頭で考え、答えを出すことなのです。就活本に書かれているような他人のエピソードをトレースすることには意味はありません。
就活本に書かれている内容を演技しに行っている時点で、その学生は、「絶対内定」するわけがありません。
就活は、限られた時間内でどう動くかの勝負でもあります。
就活本は、枕元におかず、当ブログに書かれている内容を参考に、ガンガン外に出て行動してみることをお勧めします。