「狙うは、情報システム子会社(ユーザー系)」
以前の記事、「【就活・転職】IT業界に興味を持てない方へ①」では、IT業界の中で、情報システム関連子会社が分離独立した「ユーザー系」SIerがねらい目 だとお伝えしました。
IT産業における頂点に君臨するメーカー系である日立や富士通、NECやNTTデータに入社できれば文句なしですが、超人気企業ですのでもちろん競争倍率は3桁を超えます。
なぜ、ユーザー系のIT企業をオススメするのかというと、理由は大きく3つあります。
「ユーザー系をオススメする理由」
理由1.文系でものづくりに携われる
これはSIer全般に言えることですが、文系就職はその約7割が営業職であるため、メーカーに入社しても技術職は理系で実際には営業職か、経理や人事など本社管理部門配属となります。
しかし、SEは営業ではなく、文系でも手に職をつけITの専門性を蓄積しながらものづくりで社会に貢献することができ、採用実績も豊富です。
なぜならば、IT企業の多くは、採用してから社内でしっかり教育するという考えを貫いているため、入社前よりむしろ、入社後の意欲のほうがSEやプログラマーとして活躍可能性が高いからです。
また、SE職は職人的に黙々とパソコンに向かってプログラミングを行うだけではなく、「他者との協働力と対話力」がとても重視されます。
そのため、文系ならではの柔軟な思考と発想、人との関わり方やチームで仕事を進めながらコミュニケーションスキルを発揮し社内外で活発に議論を交わす仕事のため、理系のみならず文系にも向いているのです。
もちろん、IT知識やプログラミングスキルの習得は理系の方々に混じって学んでいく必要はあるものの、それは自分の努力で全然追いつけます。
実際に、ユーザー系企業の採用実績は、その半数が文系出身という企業も少なくないので、就職四季報やネットで調べてみてください。
理由2.客先常駐が皆無で比較的転勤がなく定年まで勤務
ユーザー系はその発祥の由来が、もともとは親会社の本社の情報システム部門が分離独立して生まれた経緯であるため、本店や本社所在地が、その近辺に独立して本社を構えているケースが多く、総合職であるのに転勤が無いこともうま味なのです。
転勤は大きなライフイベントとなり、将来のキャリアプランニングの際に引越しを伴う人事異動がその妨げになったり、キャリアを描きづらかったりする事も事実。
ただ、大手メーカー系やハードウェア開発企業ともなると転勤は出てくるので、情報システム子会社のユーザー系という中規模感が肌に合う方には超オススメです。
間違えてはいけないのが、世の中に無数に存在する(12)のソフトハウスに就職してしまうこと。
ソフトハウスは基本的にプロジェクトごとに客先へ出向き、常駐して業務を行うため、プロジェクト単位でコロコロと職場が全国レベルで変わりますし、仕事内容もハードで人材も35〜40歳前後で使い捨て的なブラックな企業が多いです。
ユーザー系各社は、待遇面・福利厚生も親会社並に充実しており、年齢を重ねると「追い出し」に遭うような状況もほとんどないため、定年まで勤めあげる方も多いです。 そのような意味でも、狙うならユーザー系というわけです。
理由3.仕事が安定しており男女同等に活躍
おさらいすると、SIerの中には、大まかに分けるとメーカー系、ユーザー系、独立系があります。
●メーカー系の富士通やNEC、日立の子会社には、富士通マーケティングや、NECソフト、日立システムズがあります。
●ユーザー系の中には、伊藤忠テクノソリューションズやSCSK、アイティフロンティアなどの商社系。
●ユーザー系はそのほか新日鉄住金ソリューションズや電通国際情報サービス、さくら情報システムズ(三井住友銀行)東京海上日動システムズ、鉄道情報システム(JR)など親会社の関連システム子会社 が多く存在します。
●ユーザー系(グループ子会社)は、親会社から定期・定量的に仕事が降りてくるため、比較的働き方も給与水準も安定しています。
それが、(7)の独立系SIerや、(12)のソフトハウスになると、新規顧客開拓から、既存顧客の中にさらに潜り込み、新たな需要を掘り起こして仕事を獲得してこなければならないため、ユーザー系全般に比較すると働き方がハードになり、客先常駐確率も高まります。
また、金融系のユーザー系であれば、親会社が女性活躍を推進していることもあり(銀行や損保、生保など)、女性比率が非常に多く、育休・産休取得率および復職率も高いので、「総合職×転勤なし」という鉄壁の強みを持つユーザー系企業を、特に女子学生はマストで見ておくべきです。
「多様なキャリアパスと専門性が身につく」
以上の観点から、2回にわたってIT業界におけるSEの可能性についてお伝えしました。
小難しいカテゴリーをざっと説明しましたが、SE職の最大の魅力はなによりも「多様なキャリアパスと専門性が身につく点」にあると思います。
最初は手探りでも、いずれチームリーダーを任され、その後プロジェクトマネージャーにキャリアを積む人も居れば、要件定義や設計を担当する業務アプリケーション系SEに従事した後には、業務分析や要件定義の専門家としてビジネスアナリスト になる人。
または、システムの基盤や設計を主に担当する基盤系SEに従事した後に、経営課題をより掘り下げてITの活用法を提案するITコンサルタント に転身するキャリアパスなど多彩です。
食わず嫌いはあとあと大きな機会ロスになりますし、IT業界は全般的に選考も早いことから、全く興味は無くても練習になります。
自分が気になっている、金融機関やメーカーや商社には、ほぼ関連のシステム子会社が存在するので、まずはそこから調べてみて自分の視野を広げてみてください。