就活の初期選考、近年ではインターンシップ選考(インターンシップに本格参加するための選抜)でよくみられる「グループディスカッション(GD)」について、お知らせします。
企業や大学で、GDの場に立ち会うことも多い筆者がご紹介しますので、これから初めてGD選考を体験する方、GDになんとなく自信がない方に参考になれば幸いです。
GD選考における議論の意味とは?
グループディスカッションは、ひとつのテーブルを通常4~7名ぐらいのメンバーで囲い、企業から与えられたテーマについて議論します。
テーマによりますが、20分~30分ぐらいを議論時間として設定して選考する企業がほとんどで、面接官1~2名でチェックするのが一般的な形態です。
議論の定義ですが、「最適解を模索する手段」です。相手を論破するよりも、よりよいアイデアを参加者で作り上げるチームワーク作業ができるかが大事です。
GDの種類
GDにはいくつかの進行パターンがあります。
与えられたテーマに対して・・・
① チーム全員でアイデアを出すパターン
② チームを半数に分けて賛成派、反対派で議論するパターン
③ 具体的なケースに対して結論を出すパターン
があります。それぞれ説明します。
① チーム全員でアイデアを出すパターン
例えば、「日本における少子化対策を出してください」「大学教育で必要な3要素は?」「今後、求められる能力とは?」といったテーマが与えられ、それについて全員で考えアイデアを出していきます。
このパターンでは、最終的に結論を出して発表してもらう形式と時間内いっぱいまで議論して終了する形式があります。
② チームを半数に分けて賛成派、反対派で議論するパターン
特定のテーマにおいて、賛成もしくは反対チームの立場に分けて議論します。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんが賛成派、Dさん、Eさん、Fさんが反対派に分かれて議論し、その後、賛成派のチームと反対派のチームが立場を交代して議論するパターンが多いです。
例えば、「消費税増税の是非」とか「夫婦別姓について」「当社は今年中に海外進出をすべきか」などのテーマです。
③ 具体的なケースに対して結論を出すパターン
例えば、「車2台、8名で団体旅行していたところ、1台の車が故障し動かなくなってしまいました。次の町までは200キロ離れており、周囲には助けを呼べるところはなさそうです。1台は移動可能です。あなたなら、その1台にどのメンバーを選んで移動しますか?女性は30代の妊婦、70代の老婆、30代の自衛官、40代会社員、男性は70代の経営者、60代の医者、20代のスポーツインストラクター、20代のエンジニアです」というようなお題です。
このテーマについて、なぜその人を選択すべきなのかを議論し、チームの中で合意形成を図っていく形式です。
他には、「無人島に1ヵ月滞在します。次のうち何を持っていきますか?アイテムは9種類あります。それは・・・」というようなお題などがよくあるパターンで、基本的には正解が一つではなさそうな内容を議論し結論を導くものが多いです。
企業はGDで何をみているか?
基本的には3点、
・議論の進め方
・思考プロセス
・コミュニケーション
をみられています。順に説明します。
① 議論の進め方
時間内に議論を尽くせるように進行役として発言量を調整したり、反対意見をためらっている人に対して働きかけて全体の議論を活発化させるなどの能動的な行為を指します。
いくら充実した議論を行えても時間切れになってしまえば、ディスカッションの目的達成とはなりません。一人の発言者の意見だけで進行してしまえば全体で話し合う意味はありません。
盛り上がって議論が雑談に近くなってしまった時は、本論に戻すように働きかけることも必要です。
キーワードは、時間管理(タイムマネジメント)と議事進行(ファシリテーション)です。
② 思考プロセス
特に練習が必要な項目ですが、基本的な構造をおさえておくだけで、だいぶできるようになります。
キーワードは、定義と構造化です。
まず、定義についてですが、例えば「今後、求められる能力とは?」というテーマが与えられた場合、「今後とはいつぐらいのことを指すのか?」「求められるのは自社なのか社会全体なのか?」を先に決めておくと議論がしやすくなります。人によって認識の違いがあるからです。
「今後とは、今からなのか5年後なのか」といった部分が曖昧なまま議論してしまうと、議論がかみ合わないことも出てきます。できるだけ効率よく議論するために、「定義づけ」をして認識を共有しながら話し合うことは非常に重要です。
また、構造化ですが、例えば、上記のテーマであれば、求められる「能力」をもう少し分解して、どんな種類の能力なのかを考えるというものです。
能力と一口にいっても、英語を話せる、財務知識があるといったスキルもあるでしょうし、論理的に考える力や行動を起こす力も能力といえます。
個別に能力の種類を分解しておけば、それぞれの分解した項目ごとに、より深い議論やアイデアを出せるのです。この構造化もアイデアを出すためには必要な手段といえます。
③ コミュニケーション
他者との関係性をチェックします。キーワードは、チームワーキングです。
GDは知らない者同士で議論するのが前提です。当然、価値観や性格も違うメンバーが集まっています。論理的に議論を進めたい人もいれば、アイデアをとにかくいっぱい出したい人、アイデアを出すのは苦手だけれども他者の意見をまとめて言語化するのが得意な人などさまざまです。
ただし、参加者全員で議論するのが前提ですので、最低限の議論のマナーは必要です。
相手が意見しているときは耳を傾ける。肘をついて他者の話を聞かない。自分の意見が通らなかったときでも不機嫌な態度をとらない。自分と大きく異なった意見に対しては、頭ごなしに否定するのではなく「〇〇さんの意見は面白い視点だけれども、~だから、私はこう考えています」と言葉を選んで発言する等、チームでの共同作業の中で、うまく立ち振る舞う言動がマナーといえます。
いくら論理的に定義を確認し、構造化した上でアイデアを出せたと思っていても、「いいから、みんなは俺のいうことを聞いとけばいいんだよ!」という態度で他者の意見を無視してしまっては、GDでは落選してしまいます。
入社後のほとんどの仕事はチームプレイです。GDでは本人の態度面もみています。よって、様々な異なるメンバーの中で、柔軟に立ち振る舞いながら主張すべきところは主張できる態度が求めれます。
GDは、ほとんどの企業において、初期に導入されがちな選考プロセスです。採用担当側の視点でいえば、一度の多くの人間と接触できるというメリットがあります。一対一の面接では到底みれない人数を一気に選考できるのです。
復習ですが、ぜひ覚えておいてほしいのは、次の3点です。
・議論の進め方
・思考プロセス
・コミュニケーション
これをおさえておけば、GDの突破率は上がるでしょう。
このうち、思考プロセスについては、慣れも必要です。日頃から、要素に分解して考える癖をつけておきたいところですが、また機会があれば詳しく解説します。
今回は、簡単にGDで押さえておきたいポイントをご紹介しました。就活、がんばってくださいね!