今回は、なかなか聞くことのない人事側の情報、面接選考おける実務とその実際をお伝えします。
当サイトは、個人向けの中身が主ですが、今回は採用選考の浅い人事担当者にとっても、参考となる内容構成です。
はじめに
採用シーズンになると、各企業の人事担当者は社内の面接官候補に声がけ(内線や電話、メール等で案内)して、スケジュールをおさえていきます。
一次選考の面接官であれば、現場の若手社員が中心になるケースが多いのですが、人事は採用面接官に案内をして都合のつく人材の予定をおさえていきます。
面接官への依頼前には、業務に支障が出ないよう面接官の上司にも確認をとっていきます。上司から「当日は不可」と返答があることもあります。
「実はいま本人から退職の意向を受けているので、選考時期には会社にいないかもしれない」だとか、「結婚するのでその週は新婚旅行で休暇中だろう」といった、人事が知らなかった情報が入ってくる場合もあります。
また面接直前でも、どうしても外せない仕事が入ったなど急な連絡に対応をします。採用担当は気が休まらない仕事なのです。
どんな社員が面接官に選ばれるのか?
面接官の選定は非常に大事です。
選考では、応募者を選抜すると同時に、応募者に自社を魅力付ける機会でもあるからです。
この面接官は、「自社で活躍できている人材」「応募者からみて魅力ある人材」「採用方針をふまえて選考できる人材」となります。面接官にとっても、採用は「大事な仕事」です。
活躍していない人材へお願いすることはほとんどありません。また、営業マンとしては活躍しているが社内の人には全く興味がないとか、人を見る目が変わっているようなタイプも選ばれにくいです。
選考の場に出てくる面接官は、平均値以上の社員であるという前提で、その企業を観察した方がいいでしょう。面接官の印象が全てではないのです。これは、選考が進んでも同様です。
ほとんどの企業においては、一発の面接で内定を出すことはなく複数回の選考を重ねて選抜します。面接が進むにつれ、管理職が面接官として出てくることが多いですが、管理職に到底なれなそうな「窓際社員」や「パワハラ気味の50代の社員」が、面接の場に出てくることもありません。
応募者としては、選考時に「会う人すべて人間的に魅力ですばらしい会社だな。この会社はいいな」という印象があったとしても、実際に入社してみると残念な人材をみかける機会もあるのです。
面接の印象が全てではないことにご注意ください。(これは面接に限らず、例えば、リクルーターから受けた印象と実際に入社したら大きく社員の質が違っていた等、よくある実話です)
人事は面接官にどの程度、情報公開しているのか?
企業にもよりますが、ESを丸ごと面接官に渡す企業はレアです。
ESや職務経歴書は個人情報の塊ですので、そういう書類が出回るのは企業として相当なリスクとなってしまいます。そこで、これらの情報は人事内にとどめておくことが普通です。
面接時に渡して回収することはありますが、人事以外の面接官が事前に応募者の資料を読み込んでいることはあまりないという前提で選考には臨みましょう。
面接官にそっくりESを渡さない理由は他にもあります。
ESでは、応募者の大学名などの記載があります。学歴コンプレックスを抱えている社員が面接官となる場合、偏差値上位の大学だと、その学生を優先して通過させてしまう(面接の内容ではなく、肩書や学校名を重視しすぎてしまう)傾向があります。
また、たまたま出身地や高校の後輩であったりすると、ついつい甘い目でみてしまうこともありえます。これは、人間であれば大なり小なりある傾向ですが、選考は「自社で活躍してくれそうか?自社と社風がマッチする人材か?」を判断することが本質ですので、人事は、そのリスク(面接官の先入観によって評価がゆがめられてしまうリスク)をなるべく排除するように努力しています。
弊社では、企業の採用選考をお手伝いすることもありますが、事前情報の公開については、気にかけておくべきポイントとしています。
さて、今回は企業側の面接官の選定方法について見てきました。
各企業において取り組み方は様々ですが、企業側がどのように準備し、面接当日を迎えているか知っておくことで、面接をうける上での参考になれば幸いです。
次回は、面接官のための案内方法、選考マニュアルの中身などをみていきます。