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「JSR」は何屋さん?今後どこへ向かうのか

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JSRとは?何の会社?

BtoBの総合化学メーカーですので、 聞きなじみは少ないかもしれませんが、本日はJSRについて考えたいと思います。

 

 

 前進は「日本合成ゴム工業」政府(と民間)の共同出資

もともとは、「J=JAPAN」と冠するだけあって、完全な民間企業ではなく、政府が40%、民間企業が60%出資してつくられた、元・国策企業です。

 

1957年に関連法を根拠に日本合成ゴム工業が設立されて、1969年に民間会社へ移行されて、1997年にJSRという現在の社名に変更されて現在に至ります。

 

詳しくはウィキペディアにお願いするとして、JSRはもともと合成ゴムの国産化を目指して政府出資で作られた、ざっくり言えばタイヤなどの「ゴム」をつくる企業がその母体です。

 

事業は、

・石油化学事業(エストラマ―事業、合成樹脂事業)

・多角化事業(ファイン事業)

・戦略事業(ライフサイエンス、その他)

です。

 

 

簡略化して理解するために。

・石油化学系事業…自動車タイヤや、自動車の内装外装の部材と把握してください。要するに需要のメインは車ですね。

・多角化事業のファイン事業…半導体材料やディスプレイ材料、光学材料、つまりスマホや多機能端末向け需要。

・戦略事業…ライフサイエンスと呼ばれるバイオ医薬品関連材料や、自然エネルギー蓄電用や電気自動車向けリチウムイオンキャパシタという部材がメインです。

 

 

売上ベースでは50%程度をエストラマ―事業で稼いでます。合成樹脂や10%強で、残りは多角化事業が売り上げている。利益に関しては、エストラマ―よりも、多角化事業が企業の利益の60%以上を上げているという構図です。

 

このことから、売上ベースで言えば、今も昔もエストラマ―事業が企業の柱ではあるけれど、今後の「稼ぎ頭」は半導体材料をはじめとした多角化事業次第ではないでしょうか。スマホや多機能端末は技術革新も流行りすたりも早いので、安定した利益を今後も稼いでいけるのかは、世界の市況次第です。

 

また、国内・海外の売上構成比率は、国内が約45%、海外が約55%で、元国策企業で今はれっきとしたグローバル展開している企業と言えるでしょう。自社でも、いわゆるグローバル人材の育成を掲げています。海外志向の方は候補に入れておいてもよいでしょう。

 

 

今後どうなるのか?

で、結局今後どうなるのかは、正直不透明です。

 

ここ数年、景気は確実に回復していたはずなのに、直近2015年3月期までは右肩上昇でしたが、2016年3月期には減少しています。ライフサイエンスやリチウムイオン関連が好調とはいえ、正直、今後の収益の柱を「育てている」という状況で、花開いてがっつり稼いでいるという印象ではありません。

 

自動車の需要も国内は見込めず海外次第ですし、厳しい自動車不況(タイヤ需要減少)というメイン売上を落としていくことが予測される中で、どこまで戦略事業を伸ばしていけるかにかかっているかと思います。

 

 

社風は?組織の風土は?

前回のブログで紹介したJT 同様に、「半官半民の公務員気質」が抜けておらず、どこか堅くてお役所的、縦割り的な印象を持ちます。

 

完全なるトップダウンが、指揮命令系統が明確で組織力があるとも言えるメリットはありますが、経済合理性を考えた際に、どこまで「スピーディに」「新しく挑戦し」「新事業を展開・拡大していけるか」がキーになってくると考えます。

 

しかし、真面目で堅実という社風や組織の風土は、悪ではなく、むしろそれはビジネスを行う上で重要な要素です。

 

信頼できない人には仕事を任せたくないですし、多少動きがわるくて柔軟性に欠けていたとしても、一生懸命頑張ろうとしてくれる人と長期的に関係性を築いていきたい、取引きを継続していきたいと思うのが人情というもの。

 

また、成果主義的な面も年々取り入れて浸透していきているため、頑張った人はしっかり報われる社風ではありますし、相対的にやる気のない50代以上の方々の中で、若手が手を挙げ、言葉を発信したらそれはそれで実力を発揮し活躍できる可能性は大いにあります。

 

優秀なエリート達に囲まれて、意見もろくに出せないよりは、相対的に有利な立場に立って、現状を変えていきたい、世界を相手に戦っていきたいという強いマインドを持ち、その意欲を保ち続けることができれば、企業と自分のマッチングはうまくいくのではないでしょうか。

 

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大手広告代理店の元人事(採用担当)。現在は独立し、企業の採用支援等に従事のべ10,000人以上に対する面談実績。その人の魅力・武器を最大限に磨き上げ、転職・就活による学歴下克上多数、超難関職種(アナウンサー等)の内定実績多数。