総合職・一般職 男女の選び方
男女で分けて論ずるのはナンセンスですが、女性には結婚・出産というライフイベントを考慮する必要があるため、本日は職掌別(職種別)採用についてです。
労働政策研究・研修機構の調査によると、転勤によって結婚がしづらいという人は、およそ3割にのぼるそうです。
参考 TBSニュース
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2957683_ie9.html
総合職は全国(企業によっては全世界)がつきものだと分かってはいるものの、結婚や育児・介護などのシーンで、その時にどのような立場で、どこで仕事をしているか分からないとなると、将来を描きづらいのは確かに想像できます。
「総合職=男性」「一般職=女性」の背景
昔から総合職が男性で、一般職が女性というイメージを持たれている方もいると思います。
確かに、一般職は転勤が無く、定型業務を行う傾向があるため、給料も抑えられていることから、実家暮らしの女性を想定しています。
本来、職種別採用ではない日本企業において、このような区分がされているのは、法的に男女指定の募集が出来なくなったことも関係していますが、目的は女性の多様な生き方・働き方の「選択肢」を考慮したものです。
自分の描くライフデザインによっては、結婚や出産を考えている女性のために与えられた権限であり、男性は想定されません。男性も、結婚や育児・介護はあれど「出産」は無いので、この配慮は当然と言えば当然ですね。
したがって、一般職については、生活していく経済面の配慮や、出産・育児の事を鑑みれば、実家暮らしの女性以外の方は、ほぼ採用されません。(特に金融業界)
また、伝統的に男性社会であった建設や不動産、鉄鋼業界、重電メーカー。あるいは総合商社の中でも生活産業よりも、重厚長大産業の方が、昔から男性総合職が多い傾向にあります。
一方、女性総合職は販売接客・介護・CAなどサービス業全般。マスコミや通信、日用品・生活用品、化粧品などの生活必需品で、マーケットの半分を握る女性消費者目線の重きを置いた業界において、その割合が比較的高めです。
とはいえ、建設や不動産・鉄鋼、重電メーカーに女性総合職が全く居ないかと言えばそうではありません。
世界を相手に、実力で勝負することが日本企業に求められている環境下においては、男性だから、女性だからと男女差を前提に考えること自体ナンセンスです。
各業界の事情を見てよう
・ゴルフや飲み会などの接待が全く苦にならない
・ハラスメントという概念も気にしない(ある程度)
・おっさんの下世話な話を下ネタで返せちゃう
位の、たくましいマインドを持っている方は、是非あらゆる業界に挑戦してください。
一方、例えば金融業界のおける地域限定職(エリア総合、特定総合など呼称は様々)などでは、男女の区別はありません。男性でも首都圏勤務限定など、地域を絞った転勤無しの働き方が可能です。
ただ、仕事内容と責任範囲は明確に異なります。その中で、銀行(メガバンク)と損保(メガ損保)を比較してみましょう。
◆銀行と損保で見る職種別採用の違い
〈損害保険業界〉
総合職と地域職というような、2職種区分のうちの地域職(エリア総合職)は、一般職的な仕事から始まります。損保業界は、総合職と地域職という大きく2つの職種で定着しています。
※総合職はグローバルコース、全域社員など呼称は企業により異なります。
※話を明確にするため、アクチュアリーなど専門職は除きます。詳しい職掌は自分で調べてください
実際には、総合職は男女とも実績がありますが、地域型は女性を想定しています。総合職と肩を並べ、同じ仕事と責任において、人生設計を考えながらキャリア形成ができる。と人事は説明しますが、総合職と地域職では、仕事内容はだいぶ変わります。
一概に言えませんが、損保で地域職で入社した場合、最初は内勤事務職で総合職の方のサポート業務が中心です。その後、3年目位から営業として目標を持たされるケースが多いです。
※地域職は、エリアコース、地域型など呼称は企業により異なります
※ひと昔前は、明確に一般職という呼称でした。
変更理由は様々ですが、主に学生の一般職=やりがい無さそう、つまらなそうという、というイメージを払拭するため。また、優秀な女性人材を確保し多様な生き方・働き方を推進し、長く勤務してもらうために、一般職という呼称を止めて、各社横並びで地域型、地域社員、エリア職(総合コース)という呼称に変えています。
元々は一般職だった、ということがポイントです。元来一般職であった以上、男性は事実上、損保業界では総合職しか選ぶことができません。
これは、銀行との違いですので、おさえといてください。
〈銀行(メガバンク)業界〉
主に総合職、地域総合職、一般職のように3職種に区分されているケースが多いです。
※地域総合職は基幹職(専門)、総合(リテール)職など企業により呼称は異なります
※一般職はビジネスキャリア職、アソシエイト職な企業により呼称は異なります
主に、総合職は法人営業、地域総合職は個人営業、そして一般職は文字通り一般事務・営業事務です。銀行における地域総合職は、男性でも応募可能ですし、内定実績もたくさん出ています。(一般職は女性のみです)。
呼称はバラバラですが、明確に3職種(3区分)しているため、仕事内容が比較的把握しやすいです。
ただ、近年の傾向は、地域総合職は元々個人向け営業のみだったのが、総合職のみにその特権が与えられていた法人営業(中小企業が中心)を選択できるようになりました。元々は、完全に個人向け営業だったという点がポイントです。
また、一般職だとしても、3年目位からは各自営業目標を持たされて、顧客(個人)へ向けた金融商品の営業を担うケースも増えてきました。
つまり、総合職は大手法人や高度専門的な業務に特化していき、
・従来の一般職の定型業務は派遣社員の方々に任せ、一般職社員は地域総合職が元々担っていた個人営業を担う。
そして、
・地域職社員の仕事であった個人営業は一般職に任せ、地域職社員は、総合職が元々担っていた法人営業(中小企業メイン)を担う。
というように、業務・役割を順次シフトしていったというイメージです。
この傾向は、銀行だけではなく、証券、損保、生保など金融機関各社で似たような傾向があります。総合職も一般職も、とにかく数字を追いかけ、結果を出す姿勢が各業界求められている、ということです。
ですから、一般職の志願者は、単に定型業務を淡々と行えばよいのではなく、いずれ目標数字を持たされる。すなわち営業マインドが必要なこと。そして、優秀で年上の派遣社員の方々のマネジメントスキルも必要だということを心しておいてください。
地域限定(エリア総合)職はいいとこ取り?
銀行や証券、生保、損保も、地域限定職(エリア総合職、特定総合職)は、総合職と一般職の中間で両者のいいとこ取りという感じもします。
また、転居を伴わない勤務地に限定されるという、キャリアを描く上でとても重要な「特権」を与えられました。
しかし、そんなにおいしい職種別採用は世の中に(少なくとも日本企業において)は無く、給与や昇進スピード、仕事内容によって明確な差を付けているのが実情です。
そんな中でも、損保や生保はここ数年で、地域限定職でも実力次第で役職につけるようになってきたように感じます。役職につけない総合職もいれば、地域職でも課長クラス、部署によっては部長クラスも狙えるというわけです。(女性課長職・女性総務部長など)
その点、銀行はまだまだ遅れていて、総合職の方々を飛び越えて、地域限定社員が役職者や支店長クラスになることは、今のところほとんど聞いたことがありません。
銀行の役職ヒエラルキーは、厳然と堅持されていて、銀行パーソンのマインドにも、 「当行の未来は法営(総合職)の皆さまにかかっている」 という認識が浸透しています。
※どちらかと言えば、線引きは総合職とその他(地域職・一般的職種)の部分で色濃く出ています。
※総合職と地域総合職の仲が悪いというわけではなく、格の違いを互いに認識しながら、別々のフィールドで戦っているというイメージです。
トップカンパニーが自分にフィットする企業では無い理屈と同様に、どの業界・職掌が自分の価値観にフィットするかという視点で業界・企業・職種理解を深めてください。
結局、自分がなにを優先して生きていくかが大事
ヒエラルキーのトップは紛れもなく総合職ですから、社会的地位や収入面などを重視するなら総合職でしょう。
一方、収入や地位は総合職より見劣りしてもいいけれど、転勤を避け、プライベートを優先・充実させたい人生を送りたいなら地域総合職や一般職というように。
ただ、時代が変われば常識も変わるもの。本当に上昇志向が強く、本気で仕事一本で生きていくという強い気持ちがあれば、男女関係なく、むしろバリキャリの女性総合職を、地域職の男性社員がサポートする、という構図ができてもおかしくない と考えます。
家庭の事情で、実家を離れることができない男性も居ることでしょう。現在の雇用慣行では、転勤なしの総合職は、地方公務員か地銀・信金くらいしかありません。
しかし、今後ますます実力社会にシフトし、多様な価値観や働き方を尊重し、今まで以上に「選択可能な社会」が実現できれば、いずれは女性が外で稼ぎ、男性が家を守るような時代が普通の感覚になるかも知れません。
・お父さん世代の職人さん達に臆することなく、指示をして檄を飛ばすヘルメットに作業着姿のゼネコン女性指揮監督者
・華麗な身のこなしで口元に笑顔を絶やさず、瞬時にお客様の要望に対応する男性キャビンアテンダント
このように、自分の人生は、自分で選択(デザイン)が可能です。
自分が実現したいこと、自分の能力を発揮できる業界や企業であることを戦略的に見極めた上で就活を行い、マッチングさえすれば、自分の努力次第で理想のキャリアに近づけることができます。
まとめ
・金融業界の職掌別採用は、ある程度業務の棲み分けができていて、働く姿やキャリアがイメージしやすいのが利点
・いずれの職掌も徹底して数字にこだわる営業マインドを持ち結果責任が問われる
・男女の垣根を超えた選択可能社会は自身の描くキャリアや、向いている仕事を明確に描くことで実現可能レベルに自ら近づけていく
自分の人生設計において、なにを重視しているのか、で選択していく。 常識にとらわれない独自の判断軸で戦略的に就活を進め、悔いのないようにしましょう。