自己PRで押さえるべき3つのこと
自己PRは、新卒の就職活動、既卒の方の転職活動ともに書き方が悩ましい部分かと思います。今回は、お問い合わせの多い、自己PRについての考え方、ポイントをレクチャーします。
1)採用とは商取引である
まず、大前提として、採用とは、「企業と私(応募者)との商取引」であると覚えておきましょう。商取引である以上、双方にとってのメリットをわかりやすく提示する必要があるのです。
自己PRで大事なポイントとは、マーケティングの視点です。要は顧客の視点、相手の立場で考えるということです。(これは志望動機でも同様です)
2)相手が知りたいことを伝える
では、どう伝えたらいいか。コツは、「自分の言いたいことではなく、相手が知りたいこと」を伝えることに尽きます。
特に新卒の自己PRでは、
・苦労して乗り越えた体験
・みんなで頑張って感動した体験
といった、思い出レベルの話を語りがちですが、大事なのは「あなたが取り組んだ行動事実」です。
その伝えるべき行動事実ですが、実はこの行動にはレベル分けが可能です。当然、就職先・転職先で求められる仕事の内容にもよりますが、自分の経験を振り返り、高い行動レベルを伝えた方が魅力的な内容になります。
3)伝えるべき「行動レベル」とは?
自分の過去の行動をふりかえって、以下の行動レベルを確認してみましょう。
<レベル1> 受動的行動
言われてもしない、できなかった。(成果を出せなった)
<レベル2> 受動的行動
言われたことしかしなかった。指示待ち。(成果は出したが終始、受け身であった)
<レベル3> 主体的行動
言われなくても行動するが、当たり前のことに取り組んでいた。(成果は出したが、誰でもとるような取り組み姿勢であった)
<レベル4> 主体的行動+自分の判断
主体的に、自分なりによく考えて行動していた。
<レベル5> 主体的行動+自分のアイデア
独自の工夫を加えた行動をとり、よりよい状況に向けて改善し、必要に応じて改革できるよう働きかけていた。
ESや面接選考では、一般的にレベル4以上の行動レベルを伝えることで魅力的なアピールになります。
※繰り返し言いますが、就職先・転職先で求められる仕事の内容にもよります
例えば、あなたが携帯電話の契約販売営業をしていたとします。もし販売実績を大幅に伸ばしたとしても、前任者の仕込みが自分がたまたま担当した時に実ったり、新しい話題の機種が出たとか、魅力的な広告やキャンペーンを本社が実施した等、自分以外の要因でラッキーパンチが当たることもあるのです。
面接官は、ラッキーではないあなたの実力が知りたいのです。そこで、いろいろな質問をしながら行動レベルを確認しているのです。過去、行動した事実があれば、別の状況でも再現性があると考えるのが、プロの採用担当の発想です。
考えを聞いても(例えば、尊敬する人や座右の銘、モットーを聞いても)、嘘がつけてしまいますが、行動事実を時系列で確認していけば、頭がよく機転が利いたとしても、嘘をつきにくい(そしてバレる)のが人間なのです。過去の具体的な行動事実を確認できれば、全く別の状況や環境になったとしても、そのレベルの行動は担保できると前向きに考えてくれます。
例えば、仕事を進める際に、A、B、Cという3つの選択肢がある中で、自分なりによく考えてBパターンを選んで実行に移した人間は、別の状況でも同じように「よく考えて行動できる可能性が高い」と面接官はとらえるのです。
これを覚えておきましょう。
もう一つ高い行動レベルとは?
ところで、上記の行動レベルには、さらに高いレベルが存在します。一応、お知らせしましょう。
<レベル6>
全く別のより良い状況を創造している。
というレベルです。
しかし、これは事業をゼロからつくったり、販売方法を変えて収益を上げる(例えば、誰もが必要だと思っていた営業店舗を廃止し、ネットでのセールスやダイレクトマーケティングに特化して、赤字から大幅に収益を改善した)などの成果につながるもので、これを達成している方は、我々の経験でも1%も存在しませんので、ほとんどの方は気にしなくてもいいと思います。
さらに高いレベルは、
<レベル7>
マーケットを創造している。顧客の潜在的ニーズをとらえて、自ら市場を創ってしまう。
というレベルがありますが、このレベルは、ほとんどの企業には求められていません。
もしそのレベルの行動を何回も再現できるのであれば、自分で事業をスタートした方が、本人にとっても社会にとっても有益ですので、独立することを前提に就活や転職活動をした方がいいかもしれません。(そういう方へのアドバイスもしておりますので、ぜひご相談を)
以上、みてきたように自己PRを記述する際は、自分が言いたいことよりも、採用担当側が聞きたいこと、具体的には行動レベルを意識して書くとよりよい内容になると思います。