広告代理店の仕事とは?実際の現場は?
【広告代理店で働きたい方必見】広告代理店の実態 その1では、広告代理店における営業の仕事を詳しく解説しました。当事者の立場を想像してみると、なかなか胃と頭が痛くなるような内容であったかと思います(笑)
今回は、その仕事をしていく上で求められる能力に焦点をあてていきましょう。
広告代理店で求められる能力とは?
1)器用に複数の案件を並行して進められる段取りのよさ、要領のよさ
広告代理店における営業の仕事は、広告キャンペーンや制作のプロデューサー的立場です。予算を管理し、プロジェクト全体を推進していくリーダー的な役割となります。
個別の業務、例えば、広告制作においては、クリエイター(通常は、アートディレクターやCMプランナー等のいわゆるカタカナ職種です)に任せます。もちろんブレスト(※ブレーンストーミングの略)と呼ばれるアイデアを出し合う打ち合わせに参加することもありますが、アイデアを出すこと自体を積極的に求められる仕事ではありません。
前回、紹介したように、その業務は幅広く膨大であり、役割として求められていない制作のことまで手を広げようという営業は、ほとんどいないのが実態です。(いずれ制作セクションに異動したい人は、アイデア出しに積極的であったりはしますがレアケースです)
むしろ、営業はじっくり考えるというよりは、急なトラブルや変更、事務処理をテキパキとこなし続けるイメージです。
よって、器用に複数の案件を並行して進められる段取りのよさ、要領のよさが求められます。一言でいうと、「徹底的に世渡り上手なタイプ」が活躍できるといえます。
2)愛嬌の良さ
そして、クライアントからの理不尽な要求、先輩からの突然の仕事依頼(無茶ぶり)、職人気質のクリエイターや他の案件にも追われる複数のスタッフに、急な変更や残業をお願いしてもなんとかやってもらえるような「愛嬌のよさ」も必要でしょう。人間的魅力というと、深そうな意味になりますが、ここでは、関係者に無理を通しても、うまく人間関係を保てるような愛嬌を指します。
3)精神的にはもちろん、体力的にもタフであること
そして、「精神的にはもちろん、体力的にもタフであること」が求められます。
クライアントからの指示、上司やスタッフからの要求に対して、間に立ち、判断しながら動き続ける必要があります。タフでなければやっていけない仕事で、体育会的なマインドは必須でしょう。(体育会出身者である必要はありませんが、そういうマインドは必要です)
マスコミ全般の仕事に言えますが、製品を組み立てたら終了という種類の仕事ではありません。広告業界も、アイデアを広告やキャンペーンというコミュニケーションにして世の中に出すという仕事である以上、終わりなき闘いがそこにはあるのです。
電通の過労死事件が話題となりました。しかし、広告実務の実態をふまえると、残業がゼロという実態にはなかなかならないでしょう。
仕事場から帰宅後も、他によいアイデアがないか?とか、キャンペーン(いま〇〇を買うと、抽選で△△が当たる!といった販促キャンペーン)に際して、何か問題点はないか?など、常に気にし続けるのがプロともいえます。
※我々は過労死やマッチョな働き方を肯定する立場ではありませんが、これが実態であることは伝えておきます
おさらいします。
広告代理店の半数は営業です。
そこで求められるのは、
「要領がよくて、愛嬌のある体育会気質の人材」
なのです。
もし、ピンとこない大学生のあなたは、おそらく広告代理店での選考を突破できないでしょうし、もし入っても活躍しにくいので、応募を控えた方がいいでしょう。広告代理店の現場経験、そして元採用担当者としてそれは言えます。
各代理店によって、もちろん社風の違いはありますし、規模も違いますが、仕事内容は大きくは変わりませんので、そこで求められるような気質は、上記に紹介した通りです。
広告代理店に「クリエイティビティ」は必要か?
では、所謂「クリエイティビティ」は全く求められないのでしょうか?そんなことはありません。
クリエイティビティはあるに越したことはありませんし、真面目で賢いクライアントの宣伝担当(マーケティング担当といわれる部署)がお金を払いたい部分は、自分たちでは生み出せない企画やアイデア、それを実現する能力であることは疑いようもありません。
ただし、美術系大学を卒業した学生がアートディレクターになるように、デザインなどをディレクションする分野に一般大学を卒業して配属されることは非常に稀ですし、CMプランナー、コピーライターといわれる、いわゆるクリエイターになる人は一握りです。
また長くなりましたので、またの機会に続編をお送りしたいと思います。
お楽しみに。