以前「業界研究・企業研究の正しいやり方 その1」のでは、消費者目線から供給者目線となり、各業界の関連を知ること。そして、自分がその業界で活躍し、企業の利益に貢献できる人材であることを確かめるために、業界研究(社員訪問)が重要であることをお伝えしました。
それでは、今回は企業研究について考えてみましょう。
企業研究の正しいやり方
企業における会社の概要(設立や創業者、資本金や事業内容など、本やネット、パンフレット等に記載されている情報)は、頭に入れておいて当然のことですので、説明は割愛します。
企業研究を行う際、「職種研究」と混同しないようにしてください。
総合職である以上、職種別採用ではないため、ここに時間をかけてもあまり意味がありません。 企業研究は、業界研究同様に業務理解、とりわけ、最も新卒や若手が多く配属されるであろう部門や事業部の業務の理解を深めてください。
特に、多くの業界・企業で配属の多い 「営業職」を志望・想定しておくことを勧めます。自分がその企業の営業職となった前提で、社員訪問してください。
なにを売るのか。チョコを売るのと発電所を売るのとでは、その動き方は全く異なります。
例えば、コンサルティングや広告、金融商品の営業と、ビルや工場、発電所を作る仕事、道路を作り、橋をかける仕事とでは、
*事業規模、領域、期間、流れ *個人or法人、有形or無形
*価格、販売手法、戦略
*スピード感、要求される能力
が大きく異なってきます。
このような、非常に多岐にわたる尺度の中で、例えば2つのパターンで得意な領域を分けてみます。
パターン1.<個人実力派orチーム達成派>
個人で仕事を進め、成果がそのまま自分の成績や給料に反映される仕事か。または、チームワーキングを重視し、チームで連携・協力をしながら全員で仕事を進めていく仕事なのか。
前者であれば、金融機関の中でも、証券会社の個人(リテール)営業や、医者や医療機関を相手に、自社の医薬品を提案する製薬会社のMRなどは、個人の成績が重視されます。
一方、後者であれば、数年単位の長期・大規模プロジェクトで、多くの人間が関わる建設や不動産デベロッパー、インフラ関連、総合商社など。
パターン2.<数学・計算・論理orイメージ・直観・空気を読む力>
数字や統計学的な論理的思考を伴う作業が得意で、規則的・計画的な作業が得意か。または、表現力や独創性があり、相対する人の気持ちや思いを察する能力が高く、人と人との間に立ち、調和や関係性の構築力を強みとしているか。
前者であれば、論理的思考が重視されるコンサルティングやSE、金融機関、企業のシステム部門など。
後者であれば、アイデアで企業の売上やイメージ向上に貢献できるような広告や、人の思いに親身に寄り添うようなサービス業全般に向いているかもしれません。
つまり、 *自分の「得意」な能力を、より多く発散できる可能性の高い企業を調べる
ということをしてみてください。
企業研究のポイント
次に、企業研究でポイントとなる点は2つです。
1.利益が生み出される仕組みと収益構造を把握する(ネットに食われない企業)
2.苦手で興味のない部署に配属されてもモチベーションを維持できる企業
1については、IR等で事業領域を把握し、その企業の収益源や利益の柱を知ることで、今後、斜陽なのか、成長産業なのかが見えてきます。例えば、ネット通販の伸長により、コンビニ以外の従来の販売形態である実店舗は苦戦しています。また、今や業界の垣根は低くなり、どこの誰が競争相手になるか分からないのが現実です。
企業の収益の柱を理解することは、すなわち、今後もその柱(本業)でやっていけるのかを予測することです。本業が、ネットなど他の媒体や業界に取って代わられてしまうことが無いか、という観点は1つの判断基準となります。
さらに、規制緩和や諸外国の動きも踏まえ、消費行動がどう変化していくのかなどは、日々情報を収集して考えておく習慣を身につけましょう。
2は、 自分がその企業で一番やりたいくない業務に配属されても頑張れる動機を持つ、 ということです。
例えば、接客が好きで銀行(リテール営業)に就職し、当初は希望通りの仕でやりがいもあった。しかし、その後の部署異動では、本社システム管理部門で、外部との接触がほとんど無くなってしまった、ということも起こるからです。
その時に、これがあるからモチベーション維持し、嫌な仕事も乗り越えられる「心のよりどころ」を認識しておきましょう。
全く合わない部署に異動しても、
*この社風や文化が肌に合う
*給料が良いから頑張れる
*将来の安定性の高さが安心できる
*社会的評価が高い
などの、意欲が維持・向上するのはなにか。 キャリアプランを描きづらい総合職だからこそ、やる気の源泉・心のよりどころの認識は大切です。
そしてなによりも、
当初の志や目標を見失わないこと です。
どんな状況に置かれても、自身の目指す方向性や将来像を、入社前から明確にしておいてください。 そのことが、辛い時の自分を救う道標になりますから。
まとめ
*業界・企業研究は社会との接触の中で得意を活かせる分野を探る
*業界や企業は、社会の動向も踏まえて成長可能性を見極める
*辛くても頑張れる動機の源泉や当初の目標を見失わないこと
人材の企業のマッチングのためにも、業界や企業研究を行う際には、内にこもらずに、フットワーク軽く多くの社会人にたくさん会ってください。
我々就活・転職アドバイザーも、ご相談に乗ります。