業界研究や企業研究は、業界地図を見ることでは断じてない!
業界研究・企業研究と聞くと、業界地図や就職四季報を片手に、机に向かって業界の規模や、特徴、現状課題や今後の展望を調べ、表にしてノートにまとめる、というようなイメージを持つ方も多くいると思います。または、IR(投資家向け情報)から、その企業の特徴や現状や展望などの情報収集するなど。
もちろん、これらの情報は重要なのですが、知っていて当たり前のレベルですし、どこか誤解しています。
業界・企業研究とは、本やネット、企業の採用ホームページやパンフレットにも記載されていない情報を、社員訪問やOB・OG訪問を通じて得る作業です。
ただ、その行動は、自分が入社したあとのイメージが湧くためにやるわけではありません。これら訪問の目的は、社会人の方々との交流を通じて、業務内容や業務で要求される能力を理解することです。
業務の流れや働き方、必要とされる能力を理解していなければ、自分の能力が、どの場面においてどう活かせるのか。つまり、自己分析を行った結果と結びつけた説得力のある志望動機を組み立てることができないからです。
そのためには、まず、業界の特性・特徴を知ることが必要です。
業界の特性・特徴を調べる方法
ポイントは2つです。
1.製品・サービスの流れの中で相互に関わり合う業界を俯瞰的に知る
人・モノ・カネ・情報が、川上(原料調達)から川下(消費者の手元へ届く)に届くまで、どのように相互作用し、産業連関し、製品やサービスとなっているのかを、俯瞰的、網羅的、業界横断的に理解・把握することが大切です。
例えば、ペットボトル飲料があります。
この商品に関連しているのは、この商品を生み出した飲料メーカーはもちろん、
*飲料の原材料メーカー
*ペットボトルやキャップ、ラベルの製造メーカー
*香料や色彩メーカー
などがが関係しています。
また、
*ペットボトルに飲料を充てんする機械の製造メーカー
*機械をリースするためのリース会社
*飲料工場のプラントメーカー
*工場に投資する資金を調達するための銀行
が関連しています。
そして、
*この飲料を効果的にPRするための広告代理店
* 売上向上のためのコンサルティング会社
*膨大な顧客情報を管理するITシステム会社
*輸送し小売店に届けるための物流
さらに、
*販売する小売店や通販会社
*仲介に立つ商社
など多岐にわたります。
このように、消費者目線から、提供側(供給者)の立場にたち、相互の関連に想像をめぐらせ、1つの製品が生産者から消費者に届くまでに、どれだけの業界や企業が横断的に関与し、影響を与え合っているかに視点を変えてください。
2.その業界で継続的に利益を上げ続ける人材になるにはどのような能力が必要か知る
ESや面接などの採用選考では、自分の好きなことややりたいことを先方に伝えるのではなく、なぜ自分はこの業界に興味があり(きっかけ)、なぜ、常に業績を上げ続けることができる人材なのか、を相手に分かりやすく伝え、理解・納得してもらうことが目的だからです。
つまり、好きだから(きっかけ・受け身)ではなく、能力を発揮し利益に貢献できるから(自分から相手に提供)ということを示すために、業界研究が大切なのです。
この業界で活躍できる人材に、どのような経験や知識・能力が必要なのかは、本やネットからではなく、実際に働く社員からしか、生の声を聴くことはできません。
多くの社会人と接点を持ち、情報を得て業務理解を深めてください。
そして、最終的には、自分の行動特性や能力が、その業界で活躍できる有益な人材であることを、相手に伝わりやすく説明できるようになることを目標としてください。
[…] 以前「業界研究・企業研究の正しいやり方 その1」のでは、消費者目線から供給者目線となり、各業界の関連を知ること。そして、自分がその業界で活躍し、企業の利益に貢献できる人材であることを確かめるために、業界研究(社員訪問)が重要であることをお伝えしました。 […]