転職においては、
*ほかの仕事がしてみたい
*給料が低くてやってれない
*会社の将来性に不安
など理由は様々です。
参考 DODA転職理由ランキング2016
給料や残業代が支払れないといった違法な長時間労働などは論外ですが、労働環境、なかでも、人間関係に悩んでいるケースが少なくありません。たとえば、上司や先輩からのハラスメントはその代表例でしょう。
今回は、パワハラの実例と、面接時の伝え方について考えてみます。
モンスター上司に悩まされたAさんのケース
〈例〉
企業Aで営業職をしていたAさん。ノルマ達成のプレッシャーや、休日返上の長時間労働。心身は疲弊し、このままでは潰れてしまうと考え転職を決意。頑張った甲斐もあり、とある企業Bで、念願の営業事務に転職することができました。
しかし、そこにはとんでもないモンスター上司が居ました。常に感情的で、不機嫌になると書類を投げつけてくる。暴言・罵声を吐く。情報共有を意図的せず、無視される。このような状況が長く続いたため、Aさんは、入社後10ヶ月で仕事を辞めました。
さて、このケースでは、Aさんの過失割合が0%だったかどうかは、その場で確認が取れないので判断できませんが、かなり過酷な労働環境であったことは想像に難くないです。
これを、面接時にどう伝えるべきか。君らならどう伝えるか?そのまま「パワハラ上司がいたので辞めました!」とでも伝えるのか?
パワハラ理由の伝え方
パワハラの事実を絶対に隠さなければならないことはありませんが、かと言ってそのまま、酷いパワハラを受けて転職をしましたと伝えるのは当然NGです。
この事実にはもちろん同情できるものの、パワハラ自体は退職の「きっかけ」であって転職理由ではありません。きっかけは、退職を決意した直接的な要因であり、転職理由は、その先にある、目指す方向性や目標を明確にした自己PR・志望動機に基づく前向きかつ具体的な内容・性質のものを指します。この違いの明確な棲み分けは非常に重要です。また、面接はあくまで自己PRにかける時間であり、きっかけの説明に時間を割くのは非常にもったいないです。
きっかけであるパワハラの説明はほどほどに切り上げ、残りの多くの時間は、なぜその業界・企業・職種を志望したのか。そして、自分の経験や知識・強みをどう活かし、その企業に利益をもたらすことができるのかという自己PRに時間を費やしてください。
さて、では具体的にどのようにパワハラの事実を伝えるのかというと、事実を多少演出・脚色して話すことがポイントです。起きた出来事を1から全てつまびらかに説明する必要はありません。おそらく、大概の面接官からは、それは災難ででしたね、同情はしてくれるものの、共感には至らないからです。 しかし、嘘はいけません。ですから、伝え方にはひと工夫が必要です。
例えば、
『転職理由は?』
〈回答例〉
新たな環境で心機一転、周囲の状況を把握し主体的に働きかけながら効率的に業務推進する力を活かしいたいと考え、転職を決意しました。
現職ではとても気性の荒い方がおりまして、その方の影響で過去何人も退職者が出ている環境でした。
周りは見て見ぬフリでしたので、私は職場環境の改善のために、自分から歩み寄り、心理的距離を縮めたり、本人と積極的に対話を試み関係性の構築に努めたりしました。また、他の上司や人事部にも掛け合うなど手を尽くしましたが、状況は変わりませんでした。
このまま、居続けることは精神衛生上良くないと考え、心苦しい選択でしたが、熟慮の末退職を決意いたしました。
ここでのポイント1
自分だけが堪え性が無く、クレーマー人間ではないということを証明するために、「過去何人も辞めている」客観的事実を示す
ここでのポイント2
職場環境の改善のために努力行動をしたこと。また、仕事は真剣に取り組んでいたこと。そして、最終的な心苦しい選択という悩んだ末の決断であることを伝える
ここでのポイント3
自分にも反省点や至らない点があったことは素直に認める
※退職したのは、全て周りの人や環境のせいだと思われてしまうと、他罰的な性格なのではないか。うちに入社してもまた他者に責任転化するのではないか、と思われるからです。自分の非や落ち度は、積極的に語らずとも聞かれたら肯定するようにしてください。
また、 残業が多い、給料が少ない、仕事が合わない、などの退職理由についても、同様のことが言えます。ネガティブな理由を赤裸々に全て話すのでは自己PRになりません。
自己PRや志望動機などの前向きな転職理由を伝える時間を削ってしまうのではなく、言い方、伝え方を工夫して、簡潔に相手に共感してもらう必要があります。
ネガティブな理由は絶対に言ってはいけないものではない
いくら取り繕って前向きな転職理由だけを並べようと、面接官はプロですので、あなたが「退職の本当の理由」を隠していることを見透かしています。
また、面接官自身も転職を経験している人も多く、転職者が今の会社に何らかの見切りをつけており、ネガティブな転職理由が裏に潜んでいることは織り込み済みだからです。よほど変わった面接官でなければ、転職を決意したネガティブな要因に理解は示してくれるでしょう。
おさらい
1.面接時のあらゆる質問の意図は全て自己PRである
2.退職理由(きっかけ)は端的に。きっかけで終わらない前向きな転職理由に時間をかける
3.事実を多少演出・脚色し、同情を買うのではなく「共感」を得る
因みに、ESなどの応募書類の段階では、ネガティブな理由=本当の転職理由は記載しないでください。
あくまで、「面接時の伝え方」です。これら転職理由の伝え方の対応策は、非常に繊細で、個別具体的な対応・方策が必要です。相談者の性格や職務経歴、面接時の表情や声のトーンなどで大きく印象が異なりますので、この言い方をすれば面接官に必ず共感してもらえるという万能ものは存在しません。
転職理由で悩まれている方は、試しに『俺』に相談してみてください。一つの方向が見つかります。