ほとんどの選考において、ESは最初に提出し通過しなければならない関門です。(ここでのESとは、履歴書・職務経歴書のほかに、企業が独自で聞きたいこと(新卒であれば、学生時代に達成した経験やその会社でやりたいこと等)を指しています)
今回は新卒・転職者ともに共通するES作成上の留意点をご紹介します。
企業=選考者側の事情
ES選考をする意味ですが、選考側の論理を一言でいうと「効率化」です。
採用とは「確率論」であり、限られた時間の中で、自社にマッチし活躍できる人材をスクリーニングする(選び抜く)プロセスなのです。
とすると、効率化の観点から、以下のような採用側の本音がみえてきます。
・できれば全員と会って面接したいが、時間も人員も避けないのでES選考して面接で会う前に対象者(採用母集団)を絞り込みたい
・そもそも実際に会っても厳しい人材は、お互いにとって時間が無駄。なので早期に落選させてしまおう
・優秀な人材については、面接選考の前にチェックしておきたい 等
そこで、ES選考することになりますが、では誰がこの書類(もしくはデータ)をみて合否の判断するのか?通常、採用規模や知名度、人気業界や職種にもよりますが、選考においては個人情報がつまった書類をオープンには扱うことはありません。選考する書類は、持ち出しも厳禁です。
これらの情報が漏洩してしまった場合のリスクは非常に大きいため、企業内では少人数かつセキュリティー管理された空間で合否判断することになります。
そして、選考メンバーは、人事の採用担当もしくは面接選考に参加する関係者です。ほとんどの場合、少人数での選考となります。この少人数で、個室いっぱいになるESを短期間で選考することになります。
提出されたESに対して、それを選考する担当者が少なすぎる企業は、「採用実績校」や同時にSPI等の「適性検査のスコア」をふまえ、ほとんど読まずに通過と落選を決めてしまう場合もあります。
企業=選考者側が見るポイント
では、きちんとESを読みこんで選考している企業は、どこをみているのか?「最低限満たすべき条件」と「会ってみたいという内容」に分けて説明します。
「最低限満たすべき条件」とは、特定の部分が欠けている場合、他の内容がどんなに良くてもNG(リカバリー不可能)というものです。飲食店であれば、料理が美味しくても、清潔感がゼロ(ex.食べ終わったお皿を片づけない、飲食店なのに虫が出る)であれば、二度と行きたくないですよね。
ただし、料理がイマイチであれば、清潔感があってもなかなかリピートすることはないのではないでしょうか。の飲食店における「清潔感」に当たる部分が、「最低限満たすべき条件」となります。そして、飲食店における「料理の美味しさ」にあたる部分が「会ってみたいという内容」です。
ESも同様で、あらかじめ決められた内容を満たしていない時点で「アウト」となってしまいます。これを採用担当者は、通常ネガティブ・チェックという形で判断します。
例えば、以下のような内容です。
1)募集要項にある要件を満たしていない
応募資格である「年齢、卒業見込年度、学歴」といった条件から外れている。
提出期限を過ぎている。
2)提出書類に不備がある
写真が貼られていない。表記内容が明らかに間違っている。規定枚数がそろっていない。
過去受けた他社向けの書類を流用している。
3)内容や書類自体の扱いが雑である
誤字脱字が多すぎる。規定文字数に対して文字量が少なすぎる。書類が破れたままになっている。(手書きの場合)走り書きで書いている。
等です。
過去、数万通のESを選考してきた経験から言っても、ここでネガティブな印象が強い場合は、即落選となります。落選率が高い人には、「提出すればOK」という方がいますが、学校のレポートではありません。いわゆる書類上の不備は即アウト。結婚式に浴衣で行くようなもので、即退場となります。
採用担当者の時間は限られています。「最低限満たすべき条件」だけはクリアーしなければなりません。(これは面接選考でも同様にあります)
内定に繋がるエントリーシートとは?
では、「会ってみたいという内容」とは何か。この部分は企業や組織によって変わる部分で(選考におけるポイントはそれぞれ違います)、これを書いたらOKという正解はありません。
ただし、意識すべき書き方というのはあります。一言でいうと、「独りよがりな自分目線ではなく、採用担当者が知りたいこと(採用担当目線)」に頭を切り替えて記述するというものです。就活・転職活動は、自分という商品を売り込む「商取引」とも言えます。商品を買うことのメリットをいかに伝えるかが大事です。
この具体例については、また別の機会にご紹介したいと思います。また、エントリーシートの相談はいつでも受け付けます。